男性同士でも手をつなぎ  
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ワーク ********************** このワークは普段、円陣になり、自己紹介から始めます。まず今回は、男性が一般的に苦手な、気持ちを感じることから入ってみました。「今の気持ちをシェアする」ということで、短い時間ずつ、二人組になって、話を聞きあってもらいました。「緊張がほぐれた」という方、「慣れなくて、話しづらい」という方、様々な意見。  普段、この再評価カウンセリングのグループは、女性が多いので、どうしても女性が集まったときに比べると、ぎこちない印象でした。かく言う自分も、同じ男性同士でも、女性といるときに比べ、かなり緊張を感じていました。「女性との方が話しやすい」という感想もありました。やはり、女性に支えられて、男性は生き延びて来たのだなー、と実感。主宰者の緊張が伝わったという面と、男性同士、やはり警戒しあって生きてきた歴史が反映しているという面と、男性のみならではの体験になりました。  さて、カウンセリングという名をつけていますが、この再評価カウンセリングは、一般的なカウンセリングとかなり違う面を持っています。中でも特徴的なのは、手を取ったり、ハグをしたりすることで、深い感情を引き出す助けとすることがしばしばあるということ。  普段のグループワークでも、男性のみのサポートグループでも、当たり前に手をつなぎあっています。男性同士だと最初は抵抗がかなりありますが、慣れれば、どんなにこわばっていた男性同士でも手をつなぎ合うことに安心感を覚えていきます。だから、このワークでも、特に身体的接触が少ない男性同士、そこに取り組むのが再評価カウンセリングのさわりとして、印象深い体験となるだろうということを考えました。そしてやはり、ここが、このワークショップで一番の波紋を投げかけました。  ワークのアイデアを考えている段階で、「男性同士手をつなぎ合うのは、やっぱ大変かな」と思いながらも、当日思わず思いつきで「では皆さん、隣の人と手をつなぎあってみましょう」と提案したことから、思わぬ展開となっていきました。  ものの数分と経たぬうちに、参加者の一人の方が、「手を離していいですか?イライラして、不快になってきたので」という言葉を発したことを皮切りに、ほとんどの皆さんが、「自分も」「自分も」と手を離すということになりました。  ある程度予想はしていたものの、あまりの早さと、引き出した反応の強烈さに、衝撃を受けてしまいました。ガーン!  その最初に手を離したくなった男性に、少々時間を取り、どんな気持ちか聞いてみましたが、彼も「女性の多いワークではもっと気持ちを感じられてきたが、今日は少し難しい」ということで、深くつっこまないで終えました。本当に丁寧に安心感をつくらねば、男性の気持ちを引き出すワークは難しい、と痛感しました。  元来、男も女も関係なく、小さい頃は手をつないで遊ぶもの。でも、だんだん男の子が誰かとスキンシップをすることが、「ホモ」「おかま」という同性愛嫌悪、女性差別に裏打ちされた言葉や、「男だからべたべたすんじゃないの」といった当然のように言われる言葉によって、疎んじられ禁じられていく。そして、幼少期からの身体的な孤独感を抱え、体ごと人とくっつける在り方を探して、みつけるのが、だいたいポルノ。