●ほめる 傾聴する 認める
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●ほめる 傾聴する 認める
 この3つはコーチングのなかでとくに強調される。
 また、講演などでも一番効果が現れると評価される。これは人間の心理にかかわる ところだから、日本受けするのかもしれない。実際にはコーチングの入り口のコミュ ニケーションスキルのとこなのだが。
 コーチはそれが姿勢になってしまっている。ところが、ビジネスコーチングで上司 が部下に使うといった場合は、ついついその姿勢はくずれがちだ。

 上司にとってやりやすい手法は、叱る、命令する、辱めるだ。部下にとってここち よいのは ほめられる、きいてもらえる、重要だと思われるだ。
 マキャベリの君主論は民衆におそれられるようになれというように書いてある。し かし、今の日本人はうたれ弱い。叱られれば、「なにくそ」とがんばるより前に、 「めげるー」とくじけてへたって、ますますミスをくりかえす。あるいは、「さよう なら」と去ってしまうかなのだ。
 ほめられるとつけあげるという逆効果があるにはある。「ああ、これでいいんだ」 とそれでもうよしとする。
 しかし、それでも、叱るよりも現代においては ほめたほうが上に伸びる可能性が 高い。

 なぜかというと、現代は他人度が高い。家族度がひくい。相手が他人でなく家族な らば、叱られると、認められようと努力する。でも、その相手が他人ならば、離れる ほうを選ぶ。
 一方、ほめられると、家族度がアップする。よって、認められようとして、努力し てしまうのだ。
 ほめられ、いい気持ちになり が好転のきっかけになるのだ。

 ただし、見方をかえると、こうした手法を駆使して労働者を心理的なところまでい じって骨のずいまで使い切るという 構図はなんかいやらしい感じもしないではない。