講座15:ふみだす
アメリカの成功哲学ものによく出てくるものに、「やる気があれば成功する」があります。あまり恐れていると、萎縮してしまい、成功するものも成功しなくなります。
潜在意識のレベルで、「できないと判断している」のと一緒です。
ビル工事現場で、こわがりすぎて、足が がくついて、挙句のはてに、ふみはずして転落しするということがあります。
ビル工事現場の足場の幅はボーリングレーンの横のメンテナンス通路と同じく幅45cmでも、
一方のビル工事現場では足がすくんで、一方のボーリングレーンではおんなの子が走りまわっています。
「失敗するかもしれない」という思いは、セルフハンディキャッピングと専門用語で言います。
このセルフハンディキャッピングは成功確率を極限まで低めるそうです。
スポーツの世界のイメージトレーニングというものがあります。
サッカーW杯1次リーグで『死の組(F組)』に入ったイングランド代表のエリクソン監督が、仰天プランを発表しました。つまり、心理学者による催眠術で選手のトラウマを除去し「優勝のイメージ」をプログラムして優勝を狙うというものです。
心理学者は「最終的には、W杯で優勝できるということを頭にプログラムさせる」とし、静寂な室内でいすに座らせたベッカムら選手たちを深い眠りにつかせ、優勝のイメージをインプットするというものです。監督は「勝利を得るためには、技と体を磨くにとどまらず「心」を充実させることが重要」としています。
恋愛でも、「あの子とつきあいたいけど、無理だろうなぁ。断られるだろうなぁ」とばかり考えてしまっていると、声をかけるとしても声がうわずります。声すらかけられないかもしれません。
「ほらできた、やればできる」式のセミナーでは、割箸の名刺切りがあります。
割箸の両端をもってもらい、空手の瓦割りのように、名刺1枚で中心から折るというワークです。
曲がるか、曲がらないかの微妙な硬さのスプーンを使ってのスプーン曲げというセミナーもあります。
こうしたセミナーは、「ちょっとでも迷いがあるとできない」「迷いがないとできる」ボーダーラインの現象を利用しています。
物理学的には「割れて曲がって当然」な現象なのです。
つまり、「やろうと思ったからできた」のではなく、先入観が迷いを呼び、ほんのすこしブレーキをかけてしまう、つまり、手がにぶってしまい、できるものができなくなるという現象です。
(※スプーン曲げは超能力的なものもあるようですが、わかりません。)
たとえば自分は「貧乏だから」と言うとき。
たとえば自分は「女だから」と言うとき。
たとえば自分は「若いから」と言うとき。
そこにはブレーキがあります。このようなクライアントを前にしたとき、コーチは
そのブレーキの本質を見きわめなければいけません。
不要なセルフハンディキャッピングならば、それはせっかくアクセルをかけているのにかけているブレーキですし、
危険な坂道を下るときにかけているときのブレーキであれば、それは身を守るからです。
あまりブレークを否定していると、みんながマルチ商法に引き込まれてしまいます、みんなで成功しよう=みんなで無茶しようぜ ではいけません。
その本質が不要と思われたときに、一度落ちて傷ついてはいあがってきたコーチであればあるほどいい言葉をもっています。
「わたしもですが」。と。
※セルフハンディキャッピング
失敗したときにその原因が自分の能力や意欲にあることがはっきりすると、自尊心が傷ついてしまいます。そのための予防線として、あらかじめ自分自身にハンディキャップをつけて自尊心を守ることがあります。これをセルフ・ハンディキャッピングといいます。
■表面的なとらえ方
●気合
イメージトレーニングも有効です。
先見の明は必要ですが、不安をいつまでもひきずりまわしても何もはじまりません。未来について悩んで待っていると、ときの流れとともに自分も環境も変わりますから、今出した解決策が無駄になります。
成功するかどうかは誰にもわかりません。でも、自分のなかのせいいっぱいでやっていけば、少なくとも自分は納得できる生きかたができると思います。
そして、そこにコーチがいるということは、あとでそれを思い出したときに、笑顔で語れる相手がいるということなのです。コーチングは気持ちを大切にします。
「あたまごなしに否定する」
「勝手な意見」
といった、友人の対応はコーチの対応ではないことがわかると思います。
「そんなことは無理」
「やめたほうがいい」
「こうしたほうがいい」
「大丈夫? うまくいかなかったらどうするの」と。
ただし、友人からの反発で自分の意志の揺らぎが感じられるなら、それは時期が早いのかもしれません。
◆先入観のブレーキが行動をにぶらせる
「先入観のブレーキが行動をにぶらせる」へ 続く
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