◆分解する(チャンクダウン)
問題の結果がどのような要因によっておきているかを図解して、問題を把握して解決案を考えるときに使うものです。
まず、特性と言われる、問題の結果があるわけです。つまり、大きなチャンクです。
大きなチャンクは、ロッククライミングのときに前にたちはだかる断崖絶壁みたいなもので、太刀打ちできないと思えるようなものに感じます。
そこで、ロックにちかづいて、手がかり足掛りをさがしていきます。
困った問題やこうなってほしいといたった問題が、魚の頭のほうに書かれます。
名詞+動詞の形式がよいです。
そこで、魚の骨を描くように、要因を洗い出すのです。
管理業務では、問題に関係するひとびとが中心になって討議します。ブレーン・ストーミングやブレインライティングなどを使って、できるだけ多くの問題点をみつけだすようにします。
たとえば、「ポカミスをする」の特性に対して、「作業者」はどうなの?「指導者」はどうなの?「作業方法」はどうなの?とどうなの?要因のちょっと太めの骨が決まっていきます。
あとは、その骨に、似た様な内容をスポンスポンと小骨にして、書き込んでいくだけです。不要なものは捨てられ、「あれ?これはどうなっているの?」というところが見えてきます。
あとは、図解の中から重要と思われるところを見つけて、はい明確になりましたということになります。
これもコーチの技量に片寄りがあると、たとえばさきのポカミスなら環境という視点が抜けて(クライアントに質問しないで)、環境という太めの骨がたたず、そこに照明、乱雑、温度などの小骨もたたないことになります。それが、実は大問題だったりすれば、無能なコーチということになりますね。
このように、魚の骨みたいにくだいていく作業をすることで、漠然としたものが 実際に手をうてるものにまでになるのです。
・大きなチャンクのままではわからない
昔、会話の本に「きどにたてかけし・・・・・」というのがありました。
つまり、「き」:季節、「ど」:?? 「に」:?? 「た」:旅というもので、話題につまったときに、季節の話しとか、天候の話しとかをしなさいというものです。
これを実践したもてない男がおりました。
男「えぇ、、、っと、秋っぽくなりましたねぇ」
女「今日は寒いよね」
男「えぇ、、、っと、趣味はなんなんですか」
女「けっこう、映画みるの好きかなぁ」
男「えぇ、、、っと、旅行はどこかに行かれましたか?」
と、単発アンケート状態で、速攻さようならでした。
昭和30年代にはお見合いの席で、これでも「誠実な方で」と、結婚まで至っちゃっていたシーンではあります。
会話は、たいていは、おおまかなな話しがはじめに来ます。
「あの映画おもしろかったぁ」のあとに、おもしろかった場面とか、そこから感じたことに入っていきます。普通はそうです。
「あの映画おもしろかったぁ」に対して、「そう」とだけ言って終わることもできますし、「私もあの映画見ましたけど、ラストは陳腐って感じしましたよ。」と、自分のほうにグイと持って来てしまうこともできます。でも、それでは、相手の「おもしろかったぁ」の内容は永遠にわかりません。
・チャンクを砕けば具体的になる
相手の言葉の大きなかたまり(チャンク)をほぐして、適度なチャンクにまで砕くことで、具体的にどこがどうおもしろく感じたのかが具体的にわかるわけです。
これをチャンクダウンと言います。
この技が得意なのは黒柳徹子さんです。長寿番組だった『徹子の部屋』では毎日スターや有名人が来て彼女のチャンクダウンにはまっていくのです。
彼女は、お呼びするゲストの資料を大宅壮一文庫に所蔵されている週刊誌などのデータベースから大量にひきだして予習をしていたといいます。そこで、「**さんは**がお好きなんですって」「ええ、好きですねぇ」「***なんかも行かれたとか」「ははぁ(笑い)、あそこはもう**好きならば**のとこですからねぇ」「ええ(目をきらきら)」「先月も家内と行ったんですがね、」とほぐしてほぐしていきます。視聴者にゲストのひととなりまでも具体的に見せていくわけです。
まぐろの解体ショーを鮮魚コーナーでやっているように、有名人を解体していくのでした。
・コーチングセッションでのチャンクダウン
チャンクダウンは、クライアントとのいろいろな場面に使います。
自分を知るでは、相手の長所を聞いたときに、長所だと思う具体的なエピソードを聞けばより長所がわかります。特徴をたんたんと伝えられるよりも、その特徴がでている過去のエピソードを話すほうが深く特徴を伝えることができます。
ただ、「行動力がある」「好奇心旺盛」と一般的な言葉ではなく、行動力、好奇心というものを一つのストーリーを立てて話してみてください。
目標設定のときは、漠然とした夢、たとえば「有名になりたい」とか「金持ちになりたい」「かっこよくなりたい」も、「有名ってたとえば、どういうこと?」などの言葉で、もっと具体的にクライアントの描いている言葉を具体的にほぐしていくと、その手だてが見えたり、あるいは、夢に隠れていた本当の夢が見えてきたりします。
計画の段階であれば「努力する」「がんばる」とかいうどでかいチャンクのままでは、具体的に動けませんから、実際に行動ができるようなリストがつくれるまでくだいていきます。
漠然としたクライアントの言葉を理解するためでもあります。クライアント自身がくだくことで、次に採るべきアクションを自分で明確にすることになります。
続く
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