ガイダンス
■コーチングとは?
●コーチングは万能ではありません
コーチング技術を全員がマスターしたほうがいいような言いぶりの記事があります。ですが、みんながコーチになるとかえってやりにくいと思います。
アメリカでは「コーチみたいなその口ぶりをやめてくれ」とか「それって、コーチングだろう?」という会話があります。コーチも多すぎると鼻につきます。人間はいろいろいるからおもしろいと思います。
コンセンサス的なリーダーや何も言わないで背中で教えるリーダーより、俺についてこい型のリーダーの出番があります。たとえば、緊急の災害のとき、コーチングスキル型で「きみはなにをしたらいいかな」と聞く上司がいたら、火事なら焼け死に、地震ならビルの下敷きです。今すぐやらなきゃいけないことは結構あります。クレーム処理とかも、責任は俺がとるから今これを!という場面もあります。トップダウンの命令型のひとの役目のところも絶対になくなりません。それも必要です。現在のような市況ですと、とりまく経済環境自体がそのまま「地震」であり「火災」であるという会社もあります。まだ、くすぶっていて煙クサイとかであれば、コーチングで火災を消し止められるかもしれませんが、火の車になっている会社に、コーチングはまさに焼け石に水です。
仕事自体がルーチンワークというケースもあります。まったくの作業です。マニュアルをきちんとやることが仕事である職業もあります。
こうした場合、コーチングのコミュニケーションのありかたの部分は使えますが、コーチングそのものフルセットでの出番はないという現場もあります。
コーチングが万能だと言い切るコーチもいますが、言い過ぎです。依存心が強いとか自分で決められないひとはコーチングには向きません。心理学でいうところの非指示的方法になじみにくい人です(知的発達の遅れているひと、自己決定の習慣に乏しい人、父親的な依存対象を求めているひと)。
すべては、いろいろあったほうがよく、バランスなのです。
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