■ワークシートにあたって
仙台コーチング協会では基本スタイルとして忍術でいう秘技みたいな「理論」と、ワークシートによる「臨床」という2つの方向で深める方法をとります。
■CD−ROMによる理論
●完成品ではないと見る利点
仙台コーチング協会ではコーチングの基本スタイルをCD−ROMで提示します。この基本スタイルは、忍術でいえば秘技みたいなもので、理論です。ですが、それが完成品だとは考えていません。
●ひとのつくったものではなく、自分でつくったものという自信を持てる。
●人は各々違うのだから、自分のスタイルを持ったほうがいい。
●自分でつくったものは、修正しやすい。
がその理由です。
●ひとのつくったものではなく、自分でつくったものという自信を持てる。
ここに公開されている地図はあなたにとっては整備された土台でしかないのです。それをつくった私達スタッフそれぞれにとってもそうなのです。
この土台は仙台コーチング協会の中での共通項ですから、仮に仮名○野○夫、これをつくった○野○夫と違った人格を持ったあなたが、このやりかたに忠実になろうとしたならば、どこかに無理が生じると考えます。
コンピュータにとってのオペレーションシステムのようなもので、そのオペレーションシステムの上にあなたのプログラムを構築してください。
理論にとらわれずに、あなたの場であなたのクライアントにあなたの人間味でコーチングをおこなってください。それらを理論に活かすことが、オペレーションシステムの上に構築することです。その構築、つまり、あなたのコーチングを創っていく過程が、あなたのめざす方向への進歩なのだろうと思います。あなたに適した、あなたの人格にあったコーチングが必要なのです。
●人は各々違うのだから、自分のスタイルを持ったほうがいい。
コーチは個人個人はそれぞれがユニークな存在です。また、クライアントもまたユニークなものです。
たとえば、あるクライアントは、傷ついた過去をもったコーチのほうが話しやすいといいます。あるクライアントははきはきとリードしてくれるコーチを好みます。
適したコーチング環境というのは、すべてにオールマイティというのではなく、いろんなコーチのなかから自分にあうコーチを選ぶことができるということだと思います。
●クライアントもユニーク
個人個人はそれぞれがユニークな存在ですから、それに対応しなければいけません。 100円いれればでてくる、販売機のジュースとはちがうのです、
ユニークということは、逆の見方をすれば、「ユニークなので、そのユニークさを利用できる」ということです。
つまり、クライアントをよく観察すれば、会話の癖や、迷信や、価値観など、使えるものはみんな使っていけるかもしれません。
●自分でつくったものは、修正しやすい。
コーチングには、極端にいえば、クライアントの数だけその地図が描かれるのだ考えます。
●クライアントによってコーチングは完成する。
コーチングはとりあえず完成されたものを高額で買うというものではないと思います。
ベッテンハイムは「1年目のカウンセラーは、理論的な背景によって方法に著しい違いがある。5年目のカウンセラーは、理論は違うが、方法はかなりにかよってくる。10年目のカウンセラーは、理論はやはりちがうが、方法はほとんど差が見られなくなる」と言っています。カウンセリングをコーチングという言葉に置き換えてパクって、コーチングの本に書かれている言葉です。
歴史の浅い「コーチング」でも、その現象は予測できることです。
●コーチはクライアントが育てる
なぜ、ベッテンハイムの言うようになるかというと、カウンセラー(コーチも)はクライアントが育てるからです。
あなたが、コーチを開業すると、そこに初期の段階ではランダムにさまざまなクライアントが押しかけてきます。たとえば、あなたにコーチが必要なの?こっちこそコーチしてほしいというようなひとも来るでしょうし、やたら理論をふりまわすだけで講義していくひと、理論展開はするけれど行動になっていないひと、特定の宗教に没しているひと、やたら指示を求めるひと、目がドローンとして自分がどうどうめぐりしていることに気付いているけど抜け出せないひと、一切自分を語らないひと、ひやかし客、興味本位 などです。
そうしているうちに、自分にあったクライアントが残り、自分にあわないクライアントからは逆に淘汰されていく時期がきます。
●自分にあうクライアントが残る
たとえば、ドローンとした目のクライアントとの毎回のセッションがつらくなるコーチもでてきます。外観で、クライアントの好き嫌いをしてしまうという感情もでてくるコーチもでてきます〔電話セッションには、テレクラでお互いに夢をみてしまうように、そういう外観での拒絶を防ぐ効果もあるのです〕。
自分は、こういう学校を・こういう教室を目指して教師になったのに、配置された学校は荒れにあれた学校だったので立ち尽くしてしまうということがあるように、また、その逆もあるように、自分の夢とするクライアント像をコーチは最初もっているものです。
あるコーチ養成会社ではクライアントに合わせて「カメレオンになる」という講座がありますが、「カメレオンになる」のも程度問題です。自分が嫌っているとか、苦手にしているクライアントからはどうせ確実に切り捨てられますし、そのクライアントにあったコーチはどこかにいますから、コーチ料のためにクライアントを自分のところに拘束してはいけないと思います。むしろ、いろんなコーチ、あるいはカウンセラー、あるいは医者と連絡がとれる環境をつくり、クライアントにあうひとを紹介してあげることのほうが大事です。
よって、初期の段階でおしかけたいろんな客層のカフェが、開店から4ヶ月もすると、お客さんによって店も変わり、また、客層がそのカフェの空気(往々にしてそれは、内装よりもスタッフの人間による空気です)にあったひとたちになるように、コーチにあったクライアントが集まるようになります。
コーチ21で養成されたコーチがかかえるクライアントとCTIジャパンで養成されたコーチがかかえるクライアントはそれぞれに傾向があるようです。
●コーチング「論」は一致しない
この時期に、そうしたさまざまな現象を客観視できないと、コーチング論はばらばらになります。コーチのあるべき姿や、クライアントをどういう視点で見るかを語り合うとけんかになります。
たとえば、クライアントに助言すべきかどうかといったところです。ある程度自分で心理学を勉強していたりして、自分の位置を見れるクライアントには助言はあまり必要はありません。ですが、どうしてかわからない状況から抜け出せないというクライアントには助言が必要になります。法律でも、学説では解釈が分かれるものの、個別の判例ではほとんど矛盾がおこらないように、一般論は個別対応には意味がないのです。
コーチの考えがばらけたのではなく、抱えているクライアントが違うだけなのです。
しかし、コーチを長年つづけているうちに、その長い時間のなかでいろんなクライアントと出会うことになります。そして、カウンセリングと同じように「方法はほとんど差が見られなくなる」のだと予想できます。
●オールマイティなものはない
心理カウンセリングでもオールマイティなものはないと考えます。たとえば、パーソン・センタード方式と論理療法というものがあります。どちらも個人療法ですが、技法が正反対です。これは非指示的方法と指示的方法の代表ともいえる療法なのです。
コーチの立場としては、そうしたいろんな手法を折衷してやるか、コーチの得意な手法をとるかの選択肢があります。
コーチの得意な手法をとる場合、クライアント自身がいろんな手法の個性をもつコーチを自由に選択できるという条件があればよく、むしろ「選べる」環境がクライアントにあるというほうが自然だと思います。
メールコーチの場合でも、データを、クライアントや一緒に勉強する人と一緒に眺めていき、文章を直していき、自分のものをつくってください。協会では、コーチのスキルアップは、だれかとどれだけキャッチボールをしたかが大事だと考えます。
積み木方式のマップを公開しながらセッションをするので、これをMS方式と呼んでいます。ねたばらしをしながらセッションをすることで、誰でもその地図にのっとって進めばいいのです。そのMSの意味は聞かれないほうがいいと思いますが、、、、マギー司郎、マギー審司のイニシャルです。
さらに、文字では非言語的態度や非言語的応答とか雰囲気が伝わらないので、それを埋めるために、学習した内容で身につけた目で、介護カウンセラーを見るとか、テレビで芸能人を見るとか、喫茶店でウエイトレスを見るとか、技のすぐれたと評判のホストやホステスを観察にいくとか、観察をしてください。
■ワークシートによる「臨床」
●「頭でわかっても体が動かない」
一方ワークシートは「臨床」です。「床」に伏せっていないので、その言葉はすこし違和感があるのなら、実技です。
ある資格会社の教授方法でほとんどの受講者が感じているのが、「頭でわかっても体が動かない」という現象です。
「頭でわかっても体が動かない」のなら、体を動かすことです。
ところが、いざとなると、なにも武器がないように感じてしまうので、動けないひとが多いのです。
そこで、有効なのが、目に見えるワークシートなのです。
これは、クラインアントをあてはめるのではなく、ワークシートをたたき台です。たたき台があることが勇気につながります。
たたき台にして自分なりのワークシートをつくっていくつもりで、セッションに臨んでください。
●成功例を持つ。
コーチやカウンセリングにとっての一番の上達方法は成功例を早くもつことです。 仙台コーチング協会のシステムのなかにコ・コーチをいれているのはそういう理由です。
スキルの高いひとから一方的に講義を受けるよりも、同じレベルや後輩や仮のクライアントとの試行錯誤のなかで成功例を目指すほうがいいのです。ある資格会社では、不安な新米コーチが、古参のコーチにコーチを頼み自立できずに延々とコーチ料金を払い込むシステムになっています。
ある意味、古参コーチにとってだけはすぐれたビジネスモデルですが、鴨にされた新米コーチはなにも得られないのです。
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