■ビジネスコーチングにおける承認の注意
ビジネスコーチングにおいて、傾聴する、ほめる、承認するなどのコミュニケーションスキルの所は部下にとってよいことだらけです。
ほめるというのはそこに承認をあたえるということですから、ほめればいいというものではありません。ほめるということは、いい感じをつくるだけでなく、そこを助長するということを念頭においてください。
◆ほめるは「アクセル」です
小説『幸せのポリアンナ』の「いいことさがし」というのがあります。一見不幸なこと、別に普通なことを「いいこと」だと解釈するのです。たとえば、自分が足を折ったら、あなたが折らなくってよかったというようにです。
ものごとには、相手のみかたで、変わるものがあります。「子どもっぽさ」と「子ども心」は似ているようで、違うようで、また、似ています。。。
コーチングにはリフレーミングというスキルがあります。つまり、見方を変えると良く見えるというものです。
リフレーミングをもって「ほめる」に使っていいかどうかは特に注意してください。[おせっかい]が「面倒見がいい」とリフレーミングされますが、本当はイコールではありません。面倒見がよすぎるから、「おせっかい」なのです。「自分に素直」すぎるから「わがまま」なのです。同じように」「神経がこまやか」すぎるから「神経質」なのです。さっぱりしすぎるから「無神経」なのです。
「○○くんってやさしすぎる」と言ってふられる構図を見たことがないでしょうか。デートの行き先を彼女に聞いてばっかりで、リードしない○○くん。
「おせっかい」「神経質」「無神経」を、「面倒見がいい」「神経がこまやか」「さっぱりしている」と誉めたら、ストーカーが、ダスティンホフマンの映画『卒業』を見て、やっぱり自分は正しい!と確信しちゃうように、危険です。以前、池袋の駅で目撃した泣きじゃくる女とそこにつったつ男です。女は浮気をした男に向かって「**くんはやさしんだよぉ」と彼を弁護していました。へんなリフレーミングです。猟奇的な殺人嗜好者が推理小説作家や外科医にはなれません。泥棒が有能な警察官にはなれません。
無神経な女子社員が相手の気持ちを考えずにずばずば毒舌をふるっているのを見て「率直」とほめてはいけません。「ブレーキ」を覚えれば、そこは長所になるということです。素質があるということです。
ほめるには、「そこを育てたらそのひとにとっていいだろうな」と思うところをほめないといけません。ほめるは「アクセル」です。
続く
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