■表面的なとらえ方
●TA:交流分析
性格分析、自己分析はいまや、就職のときのお決まりメニューになっています。
可能ならば、「コミュニケーション」に目を向けた分析をしたほうが良いと思います。
交流分析は1950年代に、精神科医であるエリック・バーンが精神分析から発展させ、体系づけた自己分析の為の概念です。
自分自身を映しだす鏡のような役割を果たします。
CP: 信念に従って行動する厳しい父親のような親の心です。自分の価値観や考え方を優先して理想を求めます。CPが強すぎると尊大で批判的になりがちです。
NP: 思いやりを持って世話をするやさしい母親のような親の心です。親身になって人の面倒を見る優しさが特色です。NPが強すぎるとおせっかいになります。
A: 事実に基づいて物事を判断しようとする合理的な大人の心です。データを集めて理論的に処理していきます。Aが強すぎると打算的で冷たい人間に見られます。
FC: 自分の欲求のままに振る舞い自然の感情を表す自由な子供の心です。明るく無邪気で行動的です。FCが強すぎるとわがままで他人への配慮に欠けてきます。
AC: 自分の本当の気持ちを抑えて相手の期待に応えようとする順応した子供の心です。ACが強すぎるとイヤなことをイヤと言えずストレスをため込むことになります。
50の質問からこの5タイプに分析しますが、どの特性が強いかでみるのです。細かくは、243 パターンもの性格診断結果にまで分析しています。
エリック・バーンによれば、ひとはだれでも、「刺激の欲求」なるものがあるといいます。この欲求が満たされないと、ひとのこころは致命的なダメージを受けるといいます。
あいさつ・会話・言葉かけ・タッチなどの、「人に与える行為全般」をストローク
といいます。
ひとは「ストロークを求めて生きている」とさえ言えます。幼児期には親による肉体的な「ストローク」によって、あるいは、それに似た「触れあい」によってその欲求を満たします。それが、大人になると、そうしたストロークを行える相手が限られてきます。他人との「ストローク」「触れあい」は象徴的なものになり、言って見れば(後述の)「承認」もそうした象徴的なストロークとみなすことができます。こうして、ひとがお互いに「ストローク」しあうことが、バーンの用語による「交流」なのです。
◎他人から見た自分、自分の考えがどう思われているかを振り返って見ましょう。
自分を知るというのは、発音のアクセントを知るというのに似ているところがあります。自分ではちゃんと発音しているつもりでも、他人からみるとぜんぜんだったりします。目は目を見ることが出来ないようなものです。
感受性とはこころを感じることだといいます。つまり、他人と自分のこころを感じることです。他人のこころと自分のこころが通じ合ったときに、ひとはお互いをわかったと感じます。
◎自分のコミュニケーションのとり方をふり返る、自分はどう見せたいか
次に、自分のコミュニケーションのとりかたと、自分は他人にどう見せたいと思っているかを聞かせてください。
次に、コーチと同じところをさがしましょう。なんでもいいから、共通点を探します。生まれ月、趣味、好きな食べ物などなど。100個みつけましょう。
リソースのところでは「自分はどうなのか」を見るところですが、ここでは「他人とどう関わっているか」を見ます。自分を知るには、その2つの方向性があります。
コーチと違うところをさがしましょう。
勝ち負けでありません。こことこことがちがうというそれだけの確認です。
※別記にワークシートがあります。
他に、PPS(Personal Profile System)という分析があります。これが、DiSC(ディスク)理論をベースとするのでコーチ会社が「当社はDiSC理論を使っています」というのは、この分析の手法のことを言っているのです。
PPSは、1963年アメリカのガイヤー博士により開発発表されました。現在はどこかが著作権を有していますから、これがある意味、「この手法はすごい→アメリカのカールソン・ラーニング社(他)と提携しているところしか使えない→ブランド」 という論法が展開している側面があります。
これは、自己分析の内面だけを見るのではなく、交流分析と同じく、人の行動傾向を測定します。具体的には、簡単な自己診断表に記入し、人の行動スタイルをおおまかに4つの特性に分けるものです。この行動を、外向性-内向性・仕事指向-人間指向という2つの軸で作られる4つの特性、(主導性)(感化性)(安定性)(慎重性)で表現しています。
DiSC理論というのは、
D=主導
i=感化
S=安定
C=慎重
という感じに、4つのパターンにわけた頭文字に由来します。
D=主導
├● 我が強い
├● 恐れ:利用されること
├● コントロールを失うこと
└● 欲しいもの:成果
反対を押し切ってでも
成果を上げる
i=感化
├● 感受性が強い
├● 恐れ:拒絶
├● 同意を失うこと
└● 欲しいもの:社会的承認
成果をあげるために、
他の人を仲間に組み込む
S=安定
├● 我慢強い
├● 恐れ:急な変化
└● 欲しいもの:安定、安全な環境
任務の遂行のために、他
人と協力することに重点を置く
C=慎重
├● 基準が高い
├● 恐れ:仕事に対する批判
└● 欲しいもの:正確さ
現状を維持しながら
仕事の質の向上を図る
TA分析と同じくどの特性が強いかでみるのです。この4つの特性のどれが強いかで「行動」が違うという見方です。行動とは、感じ方・考え方・話し方・しぐさなどです。
これを利用すれば、職場などで例えば自分がDで部下がSの場合、どういうコミュニケーションのとりかたをえうればいいかの対応のしようがあるというものです。
案外と、分析したら「意外にもD=主導だと思ったのにC=慎重だった」ということはないようです。なぁんだ、分析する意味がないかも……と。いえいえ、そんなことは、ありません。
しかし、思いかえして見れば昔はやった血液型の性格診断に似ています。部長はB型で、部下がA型というケースで部下が苦しみといったようにです。
ポイントは相手を見て相手にあった対応をということです。
さらに、 PPSでは、人の行動スタイルを3つの自分として、「本来の個としての自分、環境(会社や家庭など)の中の自分、本来と環境との両方を統合した社会人としての自分」に対し、グラフを描き、自分を捉えるのです。人は、この適応の統合を、必ずしもスムーズに行っていないというのがポイントです。
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